姫金魚草
逢坂による二次創作テキストブログだと思います。 三国志大戦(懿丕、礎郭淮) 戦国BASARA3(家三、チカナリ) その他三国、戦国妄想をだらだらと。
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病むと言ふこと(関索×鮑三娘)
**病み関索とヤンデレ鮑
「おかえりなさい」
一騎打ちに負けて帰城した関索を、鮑三娘は穏やかに笑んで迎え入れた。関索は納得のいかない顔をして、ぽす、と鮑三娘の胸に顔をうずめる。
「わけがわからない。なんで彼は僕の邪魔をするんだ?」
「王桃のことが好きなんでしょ」
「横恋慕だ」
くぐもった声で関索は言って、鮑三娘はくすくすと笑う。
どちらがだ、と、わかってはいるけれど、口には出さない。
「いいじゃない。あの子も飽きたら戻ってくるわ」
「うん」
戻ってくる、わけがない。
鮑三娘は、自分の言葉の偽りを知っている。けれど関索は、まるで鮑三娘を疑わない。鮑三娘が、関索の耳に心地よい言葉しか口にしないからだ。
(戻ってくる、わけがないわ)
ずっと、一緒だった。関索を中心にして、花のように蝶のように戯れていた。狭い箱庭のような世界で、笑って、遊んで、毎日が幸せだった。
(幸せだった。――わたし以外は)
娘たちは箱庭を出て、広い世界を知ってしまった。そうしてやっと、あの箱庭が、歪だったことに気付くのだ。
そしたらもう、この、歪んだ主のもとに、誰が戻ろうと思うだろう。
「あーあ、つまんないな」
「あら。私だけじゃ不満?」
「うん」
鮑三娘の柔らかな胸を当然のように堪能しながら、当たり前の顔で関索は頷く。鮑三娘はするりと関索の髪を撫でて、掬うように頤を持ち上げた。そのまま、唇を合わせる。
「贅沢なんだから」
関索は、言われた意味が分からぬと言いたげに目を瞬く。この男にとって、たくさんの妻が侍る状況こそが普通なのだ。なるほど一人では不満だろう。
「――私だけで、満足させてあげる」
鮑三娘は、うっそりと笑う。子供のような関索に、次は深く口づけて。
(あのころ――わたしだけが、しあわせじゃなかったけれど)
鮑三娘は、この日が来ることを、待っていたのだ。この男に皆が呆れ果てて、立ち去って行ってしまう日を。
そうすれば――この男には、鮑三娘しか、いなくなる。
(今は――わたしがいちばん、しあわせだ)
鮑三娘は満足した。笑みを深めて、まるでなにもわからぬ風の無垢な瞳を、閉ざさせるように瞼に唇を落とした。
一騎打ちに負けて帰城した関索を、鮑三娘は穏やかに笑んで迎え入れた。関索は納得のいかない顔をして、ぽす、と鮑三娘の胸に顔をうずめる。
「わけがわからない。なんで彼は僕の邪魔をするんだ?」
「王桃のことが好きなんでしょ」
「横恋慕だ」
くぐもった声で関索は言って、鮑三娘はくすくすと笑う。
どちらがだ、と、わかってはいるけれど、口には出さない。
「いいじゃない。あの子も飽きたら戻ってくるわ」
「うん」
戻ってくる、わけがない。
鮑三娘は、自分の言葉の偽りを知っている。けれど関索は、まるで鮑三娘を疑わない。鮑三娘が、関索の耳に心地よい言葉しか口にしないからだ。
(戻ってくる、わけがないわ)
ずっと、一緒だった。関索を中心にして、花のように蝶のように戯れていた。狭い箱庭のような世界で、笑って、遊んで、毎日が幸せだった。
(幸せだった。――わたし以外は)
娘たちは箱庭を出て、広い世界を知ってしまった。そうしてやっと、あの箱庭が、歪だったことに気付くのだ。
そしたらもう、この、歪んだ主のもとに、誰が戻ろうと思うだろう。
「あーあ、つまんないな」
「あら。私だけじゃ不満?」
「うん」
鮑三娘の柔らかな胸を当然のように堪能しながら、当たり前の顔で関索は頷く。鮑三娘はするりと関索の髪を撫でて、掬うように頤を持ち上げた。そのまま、唇を合わせる。
「贅沢なんだから」
関索は、言われた意味が分からぬと言いたげに目を瞬く。この男にとって、たくさんの妻が侍る状況こそが普通なのだ。なるほど一人では不満だろう。
「――私だけで、満足させてあげる」
鮑三娘は、うっそりと笑う。子供のような関索に、次は深く口づけて。
(あのころ――わたしだけが、しあわせじゃなかったけれど)
鮑三娘は、この日が来ることを、待っていたのだ。この男に皆が呆れ果てて、立ち去って行ってしまう日を。
そうすれば――この男には、鮑三娘しか、いなくなる。
(今は――わたしがいちばん、しあわせだ)
鮑三娘は満足した。笑みを深めて、まるでなにもわからぬ風の無垢な瞳を、閉ざさせるように瞼に唇を落とした。
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